大企業から中小企業へ転職したものの、実は後悔している、という話は少なくありません。
就職市場では人気の高い大企業ですが、労働条件やノルマなど、様々な理由で中小企業への転職を希望する人も多いのです。
中小企業は、大企業と比べ、次のようなメリットがあると言われています。
- より幅広い仕事を体験できる
- 方針を決定するスピードが早く、アイデアをすぐに試すことができる
- 経験年数ではなく実績で評価してもらえる
- 出世のスピードが早い
それなのに、なぜ後悔する人が多くいるのでしょうか?
今回は、大企業から中小企業へ転職して後悔しないための注意点についてまとめていきます。
目次
大企業から中小企業への転職で後悔すること
大企業から中小企業へ転職した後で後悔した例として、どんな事例があるのか見ていきましょう。
大企業から中小企業の転職で後悔 ①給与が下がる
中小企業への転職で最も良く聞かれる後悔は、給与が下がったこと。
社員への給与は会社の利益が元になっていますから、ほとんどの場合、利益幅の大きい大企業の方が給与が良いです。
もしあなたが大企業に勤務しているなら、自分ではそこまで高給じゃないと思っていても、世間一般の給与水準から見れば高い方のはず。
参考までに、国税庁の平成29年分民間給与実態統計調査によると、平均給与(年収)は以下のとおりです。
20代前半 男性:275万円、女性:241万円
20代後半 男性:383万円、女性:309万円
30代前半 男性:457万円、女性:315万円
30代後半 男性:512万円、女性:300万円
※出典:国税庁 平成29年分民間給与実態統計調査 P19
大企業から中小企業へ転職する場合、現在の給与よりだいぶ下がることを覚悟する必要があるでしょう。
大企業から中小企業の転職で後悔 ②福利厚生が手薄
大企業と中小企業で大きく違うのが、福利厚生。こちらも、大企業の方が手厚いケースが多いです。
福利厚生とは、健康保険や雇用保険、休業補償、住居手当・通勤手当などの各種手当、健康診断の補助、社員食堂、慶弔金などが挙げられます。
法律で定められた福利厚生以外に、企業が独自に決めることができる福利厚生があり、この部分が企業によって異なるのです。
給与には直接反映されていなくても、これらの恩恵は大きいもの。
例えば、住居手当や通勤手当がなくなったとしたら、家計にかなり影響がないでしょうか?
充実した福利厚生は、会社の体力がある大企業ならでは。中小企業の福利厚生は、大企業に比べればかなり手薄な場合もあります。
転職先の勤務条件をしっかり調べ、自分の生活にどう影響するのか調べておきましょう。
大企業から中小企業の転職で後悔 ③社会的信用がなくなる
大企業と中小企業の違いとして、社会的信用・ネームバリューがあります。
もちろん、中小企業やベンチャー企業に優れた会社はたくさんありますが、日本社会では、大手の肩書きがまだ幅をきかせているもの。
始めに思うのは、家族や友人からの評判が変わることでしょう。
さらに、住宅を借りるときや、車などローンを組む買い物をするとき、良い案件を提案してもらえなかったり、なかなか契約できないといった経験をすることが考えられます。
優遇されている間は、自分が恵まれていることをなかなか自覚できません。
中小企業に転職し、名刺から大手の看板がなくなって初めて、今までと同じような待遇を受けられないことに気付き、後悔するケースが多いのです。
大企業から中小企業の転職で後悔 ④大規模な仕事ができない
大企業と中小企業の違いとして、仕事の規模が挙げられます。大企業では、関わる仕事の規模も大きいもの。
大企業で勤務しているなら、たとえあなたが若い世代であっても、大きな金額を動かしたり、スケールの大きなプロジェクトの一員になったり、大手企業の重役と面会することも無理ではありません。
中小企業では、大規模の仕事を受け持つ機会は減るでしょう。
もしあなたが大きな仕事を扱うことにやりがいを感じるタイプなら、中小企業では情熱を持て余してしまうかもしれません。
中小企業への転職で失敗しないための注意点
大企業から中小企業へ転職を考えている人が、後悔や失敗をしないためには、次のようなポイントを踏まえて転職活動をしていくことが大切です。
中小企業への転職で失敗しないために ①目先の報酬に飛びつかない
転職の理由で多いのは収入アップ。
転職時に提示された年収が今より高額で、しかも休みが増える条件なら、飛びつきたくなる気持ちもわかります。
しかし、よくチェックしてみてください。
- その金額から保険料などを差し引くと、手取りはどのくらいになるのでしょうか?
- 出張費や残業代は会社から出るのでしょうか?
- 今後は昇給が見込めるのでしょうか?
中小企業の弱点は、安定性と福利厚生です。
はじめは高額に見えた報酬も、まったく昇給がない、退職金が出ない、などの条件付きであれば、生涯賃金はそれほど高くない可能性もあります。
現在の報酬だけでなく、昇給や福利厚生も踏まえ、生涯を通してもらえる収入がアップするのか、しっかりとチェックしてみましょう。
中小企業への転職で失敗しないために ②企業の将来性を見極める
中小企業やベンチャー企業は、比較的新しい企業が多いです。
つまり、長期的に安定した経営ができているかデータがないということ。
一方、大企業は長年経営を続けており、たくさんの社員育成してきた実績があります。
もし、希望通りの中小企業に転職できたとしても、業績が悪化して倒産してしまっては転職成功とは言えませんよね。
そうならないためには、転職先の企業が長期的に成長していく可能性があるのか、じっくり見極める必要があります。
企業の取り扱っている商品やサービス、現在のシェア率、社長の人柄、企業理念などをよく調べ、今後成長が見込める会社なのか、自分なりに確信が持ててから転職に踏み切るとよいでしょう。
中小企業への転職で失敗しないために ③自分のやりたい仕事像を明確にする
大企業から中小企業へ転職するとき、一番考えておきたいのが、自分がどんな仕事がしたいのか、ということ。
報酬や労働条件だけで職場を決めてしまうと、もしつらくなってしまった場合、さらに良い条件を探してしまい、自分の仕事に満足できない、ということになりまねません。
そうではなく、自分は職場で何を達成したいのかをはっきりさせておくことで、少々環境が変わっても、年収が下がったとしても、充実した気持ちで業務に当たることができるのです。
それは、ひとつのプロジェクトを自分で立ち上げてやり遂げることかもしれませんし、今後のキャリアに必要な資格や経験を積むことかもしれません。
あなたのキャリアにプラスになり、あなたの市場価値をより高める転職は、後悔のないものとなるでしょう。
まとめ
大企業から中小企業へ転職して後悔しないための注意点についてまとめていきました。
中小企業へ移って、後悔しやすいポイントは次の4つ。
- 給与が下がる
- 福利厚生が手薄
- 社会的信用がなくなる
- 大規模な仕事ができない
また、せっかくの転職で失敗しないためには、次のことをきちんと考えておくことが大切でした。
- 目先の報酬に飛びつかない
- 企業の将来性を見極める
- 自分のやりたい仕事像を明確にする
大企業には大企業の、中小企業には中小企業の良い点がある一方、割り切らなければならない点もあります。
転職は大きな決断ですから、事前に転職先の状況をよく調べ、自分の生活がどう変わるのかイメージしてから実行するのが鉄則です。
転職を成功させて、あなたに合った職場を見つけていきましょう!
この記事を気に入っていただけたら、クリックいただけると嬉しいです!